茅ヶ崎U様邸
2020年11月に完成した茅ヶ崎S邸は、都市部の分譲地などによくある約30〜35坪サイズの土地に、「R+(建築家とつくるセミオーダーの注文住宅)」で建てた家です。S邸の玄関を開けると出迎えるのは、ドーンと大迫力の広い土間と2階の天井まで貫く大胆な吹き抜け。一瞬にして屋内とは思えないような開放感に包まれます。
「住み心地は100点満点」だとおっしゃるS一家。限られた建物面積でも毎日のびのびと暮らせる家をつくるには、何がポイントなのでしょうか? COVID-19があっても自宅で過ごす時間が快適だから苦にならない。そんな家を手に入れたい方に読んでいただきたいインタビューです。
Sさんの家族構成 アキヒロさん(40) ノゾミさん(40) 長男(9) 猫1匹
施主インタビュー
狭苦しい印象だった一戸建て
数年前に茅ヶ崎に引っ越されたS一家は、駅近くのマンションを購入してお住まいでした。当時も一戸建てにするかマンションにするか検討し、建売住宅も見学したそうですが、玄関の面積や細かく区切られた間取りに狭苦しさを感じ、全体がフラットにつながっているマンションの方が開放感を感じられたため、そちらに決めたそうです。しかし次第に手狭になって来たので再び一戸建てを検討し始めました。
松尾建設との出会いは「家づくり相談会」
S夫妻と弊社との出会いは、とある雑誌に掲載していた家づくりの無料相談会でした。基礎知識を座学で学び、その後、提携しているビルダーが建てた家を見学するという内容です。
アキヒロさん: その相談会の講師をされていたのが青木さんだったんです(笑)。とても気さくな感じで、素人には見えにくい技術的に大事な部分などを分かりやすく話してくださったのが印象に残りました。その日は僕らの都合で家の見学には参加できなかったのですが、個別にアポイントを取ることができ、別の日に松尾建設さんの建てた家を見せていただきました。
ノゾミさん: 青木さんに見せていただいた家は、空間に広がりが感じられたんです。1階には畳コーナーなどもあり、2階も広々としていて、インテリアの好みは私たちとは少し違ってはいましたが「一戸建て=狭苦しい」という既成概念が吹き飛びました。
アキヒロさん: もともと土地も一緒に探していただきたかったのと、地元の茅ヶ崎をよく知っている工務店がいいなと考えていたので、松尾建設さんにお願いすることにしました。
まずはファイナンシャルプランから
このようなきっかけで、弊社で家づくりをしていただけることになったS夫妻。もちろん家を建てるのは初めての経験です。どこから着手したのでしょうか?
アキヒロさん: 青木さんとお話しした時に「まずお金の計画をした方がいいですよ」とアドバイスをいただいたんです。今の生活に必要なお金や、子どもの進学でまとまったお金が必要な時期などを明確にし、老後まで安心して暮らすには家にどのくらいお金をかけていいかを、青木さんやファイナンシャルプランナーの方と一緒に割り出しました。するとイメージしていた金額よりも少し多く予算が組めることが分かり、安心して家づくりに臨むことができました。
ノゾミさん: 子どもの学区が最優先だったので土地を買うエリアは限られていたんですね。地元の不動産屋さんに青木さんと一緒に行って、駅からの距離など要望を伝え、出していただいた候補の土地をその日すぐに見に行きました。
アキヒロさん: 次の日の朝にはその土地に決めました(笑)。下調べをしている時に、茅ヶ崎は人気エリアなので土地の選択肢は多くないと感じていましたし、何より家を建てる青木さんにも土地を見ていただいて「良いよ!」と言ってもらっていたので即決できました。
家の中で譲れないポイントをはっきりさせる
いよいよ家のプランニングに取り掛かったS夫妻。今回はお二人のご予算内で間取りや内装等へのご要望も叶えるため、建築家とつくるセミオーダーの家「R +」をご提案しました。家のプランニングでは、S夫妻はどのようなことを重要視したのでしょうか?
ノゾミさん: あまり「新築です!」みたいな雰囲気は好みではなかったんです。故郷の田舎の実家は築100年レベルの古民家をリノベーションしていて、その感じがとても好きだったので。また、マンションに住んでいた時のフラットにつながっている感じが気に入っており、1階と2階を分断してしまうような造りではなく、2階にいても1階の気配が感じられる家にしたいと思っていました。譲れなかった所は、家族3人それぞれが個室を持つことと、吹き抜けなどによる開放感、それと広い脱衣所です。
アキヒロさん: 妻が音に敏感なので個室(寝室)は必要でした。逆にこだわらない部分はスパッと割り切った。個室も一つ一つの広さは重要ではありませんし、洗面所も寝室のある1階の廊下で十分だし、僕ら家族はほとんどシャワーしか使わないのでお風呂は小さくてよかったんです。
ノゾミさん: お風呂とは逆に脱衣所を広くした理由は、脱衣所で使う物は全部そこに置いておきたかったから。例えば下着などの着替えや、落ちた髪の毛を掃除する道具など。この家はベランダをつくらなかったので、洗濯物を干すスペースも必要でした。家族が毎日使うこのスペースが狭いと、暮らしを窮屈に感じてしまう気がして。
リビングに関しては、平日は私と子どもだけで過ごしますし、休日も集まってワイワイする感じの家族でもないので、広さはあまり必要ありませんでした。それより、家のあちこちにそれぞれが好きな時間を過ごせる場所があり、かつ空間がつながっていてお互いの気配を感じられる家が私たちに合っていると思います。リビングの床材にはこだわりました。青木さんに教えていただいたインテリアのお店でラフなオーク材の床板を見つけ、青木さんに相談したら「予算が倍くらい掛かるよ!」って。でも家全体の施工の中でメリハリをつけてくださり、予算の中で収めていただけて良かったです。この床はこの家でいちばん気に入っている部分の一つです。
土間と吹き抜けの「余白」が生活のしやすさを生み出す
玄関を開けたら広がる土間と吹き抜けの大空間はS邸のいちばんの個性。ふつうなら「役に立つのかな?」「もう一部屋つくれるんじゃない?」と考えてしまいそうですが、実際にこの空間は日々の暮らしの中でどのように生きているのでしょうか。
アキヒロさん: 建築家の方がくれたヒアリングシートの最初のページに書いたこの家のコンセプトは「玄関開けたらドーン。開放感あふれる家」(笑)。それを建築家の方が汲み取って提案してくださいました。
ノゾミさん: 土間があると思った以上に生活しやすいんですよね。屋内のようにも屋外のようにもラフに使えるので。雨が降りそうになったら自転車をそのまま中に入れられるし、キャンプや海遊びの道具も周りを気にせず置いておけます。今でもこれを潰して部屋を広くしようとは思いません。
アキヒロさん: 日々の中で何かをする場所ではないんだけど、そういう所に大きなスペースがあるのが精神的にゆとりを与えてくれます。自分の家を建てるのは一生に一度の機会ですから、ふつうの家ではなく、たった一つの僕たちの家をつくりたかった。この土間と吹き抜けの空間がそれを叶えてくれたと思います。
毎日目にする空間にゆとりがあることは、数値では測れないような心への良い影響があるのかもしれません。また、土間は意外と実用的でもあります。そして、S邸では屋外の駐車スペースの奥に、ちょっとした植栽と芝生のお庭も提案させていただきました。この部分が単純にコンクリート敷きになっているのか、グリーンがあるのかでは、家の印象がかなり変わります。「実用」だけでなく、こうした「うるおい」みたいな要素をうまく取り入れると、家で過ごす時間の心地よさが一気に増すのかもしれません。
これから家を建てる人のために
最後にS夫妻から、これから家を建てようと考えている方に向けてアドバイスをいただきました。
アキヒロさん: やはり優先順位をピックアップして、そこを叶えるんだったら他はあきらめる。変にバランスを取ろうとするとつまらない方向になりがちなので、自分たちにとって何があることが豊かなのか、そこを大事にできるといいのではないかと思います。
あとは、僕らが買った土地は分譲地の一つだったので、隣に建つ家によって日当たりなどが損なわれないかという点は心配しました。それを払拭するために散歩の途中に現場に立ち寄って日の入り方をチェックしたりもしましたが、青木さんや建築家の方は、土地の向きや隣の家との関係性などを経験から熟知しています。実際に生活していて日当たりがほしい2階のリビングは十分に日が入りますし、1階の土間にも2階の吹き抜けからしっかり採光できているので、結果的に全く問題なかったです。
ノゾミさん: 実は後ろの家の住人の方も、私たちの家が建つことで日当たりが悪くなるのではないかと心配されていました。でも私たちが庭を設けたことで、後ろの家の日当たりが全く阻害されることがなかったので、すごく感謝されたんです。私たちだけでは気がつかないこうした心遣いをきちんとしていただいたおかげで、近隣の方々ともうまくやっていけるので本当に良かったです。
S夫妻の家づくりの成功ポイントは、自分たちのライフスタイルや価値観をよくご存知だったこと。自分たちにとって何が重要なのか、メリハリの付け方が明確だったことが、快適で愛着のわく住まいにつながったと思います。また、土間や吹き抜け、庭など「実用性」だけを見ると切り捨てがちな部分の「精神的なメリット」を取り入れたことも勝因と言えます。
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